#020-S004「キリマンジャロの香り」 2007年10月29日 00時12分11秒 ― 18:52
キリマンジャロの香りが鼻をくすぐる。その香りは心地よく僕を落ち着かせる。
豆を直接嗅いだときよりも、出来上がったコーヒーを口に運ぶときよりも、一番僕を静かな気分にさせてくれる、コーヒードリップする時の香り。僕にとってコーヒーよりも大切なものだ。
いつの頃からか、人生に大切なことを決定する時、いつもこの香りがあった。
あれが最初だったろうか。17歳のとき彼女が妊娠したかもしれないと言った。僕は、入り浸っていた喫茶店でどうしたらいいのかと考えていた。その時、何ともいえないいい香りが僕の鼻腔をくすぐり、僕は自分の子供を産んで欲しいと思った。「よし、俺は彼女と子供の為に学校をやめて働こう!」そう決めて公衆電話に10円玉を6枚入れた。結局、若い頃によくある勘違いで、その数日後にちゃんとお知らせが来たのだけれど。
それまでホットとアイスしか知らなかった僕は、マスターに「それ、いつものコーヒーと違うよね?」と聞いた。「ああ、これはキリマン。特別な時に、自分のために落とすんだよ。」と答えた。その時、マスターの身に何が起こっていたのかは知る由もない。だけど、あの時のマスターはいつものマスターじゃなかった。
それからというもの、場所は変わっても何故か大切な決断のとき、いつもキリマンの香りが付き纏う。
一番最近の大きなできごと、妻との別れを決めたときもそうだった。離婚を切り出したのは、決心してから随分経ってからのことだった。でも、不意に香ってきたキリマンの香り… 本当は、僕はあの時に妻と別れることを決めた。
たまたま、人の少ない喫茶店で考え事をすることが多かったせいかもしれない。だけど、なぜか僕の人生についてまわるあの香り。ブルマンでも、モカでもない。あの独特のキリマンの香り…
今夜、僕は辞表を目の前に置いて自分でキリマンジャロを落としている。自分の為に。そう、この香りを嗅ぎながら、自分が自分であり続けるために…
(文字数:800)
by bunshoujuku [文章塾] [コメント(28)|トラックバック(0)]
コメント
_ なぎさひふみ ― 2007年10月29日 23時39分39秒
香りを呼称するのには、言葉の数が絶対に少ない。というよりなになにの香りとしか言えないぐらいに、微妙な違いがある。裏を返せばそれほど香りには刺激することの大なる力があるのだろう。
心の繊細な襞に通り過ぎるキリマンの香りはいつも勇気と誠実であるのでしょう。
_ うらら ― 2007年10月30日 01時48分17秒
偶然キリマンジャロの作品が続きましたね。それ程、この香りには人を惹きつけるものがあるということなのでしょう。主人公のキリマンジャロに対する思い入れと、彼の人生を導くかのように、人生の節目で漂うその香りが丁寧に描かれていとても好感がもてます。特に、17歳の時のエピソードが、その後のキリマンとの関わりを決定付けたような重みを感じさせます。
_ トゥーサ・ヴァッキーノ ― 2007年10月30日 12時42分00秒
よっぱさんのことだから、焼酎のコーヒー割りの話しとかなのかと思ってました(笑)
キリマンって高級なコーヒー豆なんですか?
缶コーヒーでも、キリマンジャロは量が少ないです。
キリマンジャロの香りが人生を漂わせる。
大人ですねー。
違いのわかる男。
_ mukamuka72002 ― 2007年10月30日 13時23分25秒
>そう決めて公衆電話に10円玉を6枚入れた。
どこにかけようとしたんですか(笑)?
親、学校、仕事探し?
本作品は極めて異例なものを含んでいます。実話なのか創作なのかが判断つかず、その谷間で読者を不思議な浮遊感にいざないます。何ででしょうね? 実験されたのではないでしょうが、面白い雰囲気です。
_ よっぱ ― 2007年10月30日 14時11分13秒
なぎさ ひふみさん コメントありがとうございます。
本当に香りというものは単体についてまわり、○○の香りに似ているというくらいしか表現のしようがないことに、時に苛立ったりします。
甘いと言っても、香ばしいと言っても、なかなか伝わらないもどかしさ。
それでいて、気持ちと切っても切れない感じ…
勇気と誠実、共にありたいものです。
うららさん コメントありがとうございます。
丁寧に… 17歳のエピソード 誉めていただいてうれしいです。
キリマンジャロの香りってコーヒーの中でも、わかりやすくて一種独特な香りに感じます。大好きなので、つい「コーヒーの香り」というお題にキリマンジャロが思い浮かんでしまいました。
_ よっぱ ― 2007年10月30日 14時25分03秒
トゥーサ・ヴァッキーノさん コメントありがとうございます。
さすがの僕も、毎日々々 酔いどれているわけではないのです。特に、何か大きな決断をするときには…
キリマンは特別高い豆というわけではありません。違いのわかる大人にはなりたいですが、ゴールド○レンドとブレン○ィの違いは、未だにわからなかったりします(笑)
mukamuka72002さん コメントありがとうございます。
10円玉6枚はどこに…>彼女です。僕は高校生の頃、違う県に住む彼女と付き合っておりましたので、電話といえば10円玉を何枚も握りしめてかけに行ったものです。
確か6枚までしか入らなかった記憶があったもので…
創作なのか現実なのか… それは内緒です。色々想像して浮遊してください(笑)
_ おさか ― 2007年10月30日 16時01分38秒
私、初めて美味しいと思った珈琲はブルーマウンテンだったんですよ。キリマンジャロは、珈琲に随分慣れてから飲んだ気がする。確かに大人の味ですよねー、といいつつ今は喫茶店に入ってボーっとする、ということから離れて久しいので、すっかり忘れてしまいました。
香りは不思議ですよね。時空を越える気がします。記憶がぱあっと甦るような。
でも、会社辞めちゃダメですよ(笑
_ mukamuka72002 ― 2007年10月30日 16時07分28秒
よっぱさんごめんください。
電話の件、よく読んで考えたつもりでしたが、そうですね。彼女は店にいなかった、思い込みがそう読ませてしまったようです。
今後は注意します。
_ よっぱ ― 2007年10月30日 21時38分37秒
おさかさん コメントありがとうございます。
香りだったり、音や音楽だったり、景色だったり… 人によって時空を越えたり、切り替えたりするきっかけは色々ありますが、彼の場合は香りなんですね。
仕事辞めませんよ。作者の方は(笑)子供の学費のためにもっと頑張らなきゃ!
ところで、離婚なんかしちゃダメですよ!とは言って下さらないんですネ(笑)
mukamuka72002さん 再度のコメントありがとうございます。
気にしないで下さい。一言足りなかったのは僕の方です。
「いつもの喫茶店で、一人考えていた時」とか、わかりやすくすればよかったんです。
勉強になりました。ありがとうございました。
_ 鉛筆カミカミ ― 2007年10月30日 23時05分48秒
ごめんなさい、キリマンジャロとか、ブルーマウンテンとか、違いがわかりません。もっぱら、缶コーヒーかスタバのキャラメルフラペチーノ(これはコーヒー?)を飲みます。
缶コーヒーでは、ジョージアのカフェエスプレッソがお気に入りです(どーでもいい話を……(笑))。
よっぱさんのように違いが分かる男になりたいなぁ。……それならチャレンジあるのみか?経験ですよねえ、たぶん。
今まで、よっぱさんが書かれる文章に別れのイメージがありませんでした。なので今回は少しショック。離婚だなんて、よっぱさんに似合わないわっ。
よっぱさんって、単身赴任なさってるのに、愛妻家で、子供も大事になさってる、みたいなイメージがすごくありますよね。
_ 百吉 ― 2007年10月31日 23時17分11秒
ご無沙汰しております。しばらくPC離れしていたら書けなくなってしまったので、今回コメントのみで失礼いたします。書かないくせに偉そうなコメントでごめんなさい。
私も、この喫茶店で彼女から妊娠の告白を受けているのかと思って、親にでも電話するのかなぁと思ってしまいました。
キリマンジャロの香りがいつもと違うとわかるなんて、「違いのわかる男」だなぁ。
味は確か酸味が強かったと思うのですが、香りはどんなだったかなぁ、と確かめたくなります。
「自分が自分であり続けるために…」がかっこいいです。
ちなみになんでもミルクを入れなければ気が済まない私は、苦みのあるマンデリンが好きです。
_ よっぱ ― 2007年11月01日 10時50分24秒
鉛筆カミカミさん コメントありがとうございます。
いままで、別れ話を書いた事が無いわけではないんですよ。ただ、バッドエンドよりハッピーエンドの方が読み終わり(書き終わり)の気分がいいのでついついそちらに行ってしまいます。
鉛カミさんの僕へのイメージはとっても素晴らしいので、是非そのままにしておいて下さい(笑)
百吉さん コメントありがとうございます。
お久しぶり~です。お帰りなさいませ。文章塾もブログも卒業されてしまったのかと寂しく思っておりました。
電話の件、やっぱりそう読めてしまいますよね。反省です。
_ おさか ― 2007年11月02日 20時24分36秒
>ところで、離婚なんかしちゃダメですよ!とは言って下さらないんですネ(笑)
だってー、もうしちゃってるじゃーん。止められるのは辞表を出そうとしている僕、だけですから。作品の中では(笑
_ でんち ― 2007年11月02日 23時08分57秒
コーヒーと別れ。なかなか考え付かないと思うので、実体験部分がどこかにあるはず?
キリマンが好きなところかなー。
マスターがいい味出していると思いました。
このマスターがキリマンを入れているところを目にしたら最後。
キリマンの香りをかぐと必ず別れが起こる。ホラーだ。
_ よっぱ ― 2007年11月03日 09時36分14秒
おさかさん お返事ありがとうございます。
そうか、話の中の僕へのお言葉だったんですね。てっきり作者へのお言葉かと(笑)
でんちさん コメントありがとうございます。
ピンポ~ン。実体験はキリマン好きってところです。とても若い時はブルマンとかモカが好きでした。(というよりカッコつけてただけ、ん?今もか?(笑))
一応、今回は別れだけじゃなくて「大事な事、自分らしくあるための決断の時にいつも香りがあった。」としたかったのですが、ちょっと他が弱かったかなぁ…
_ 馥 ― 2007年11月03日 21時31分42秒
コーヒーをドリップする時のポトポトポトポトのリズムが人の心を落ち着かせるのでしょうか、そして香りも漂って来ます。良い景色ですね。コーヒーを入れるのではなくて、落とすと云うのですね、良い言葉ですね、通ですねぇ。
私恥ずかしながら初めてこの言葉を知りました。
ごめんなさい!大事な事を考えて居らっしゃる時にこんな事を云って。
どうぞ、良い明日でありますように!
_ 蝶子 ― 2007年11月06日 10時34分23秒
10円玉6枚、というのが時代と青春を感じさせてとてもいいです。私も高校生の頃、生意気に行きつけの店でマスターと喋ったりして大人気分を味わいました。
「キリマンの香り」はいつも「漂っている」だけなんですよね? 自分のために淹れているのは最後だけですよね? 「僕」がいつからキリマンを飲むようになったのか、ちょっと知りたいと思いました。
ドリップすることは「落とす」といいますよね。でもね、私、あるとき職場で「コーヒーを落としておきますね」といったら「あら、〈立てておく〉と言うわよ、普通」なんて指摘されたんですよ。考え込んじゃって。ドリップされてるコーヒー見ながら「どう見ても〈落ちてる〉よなあ、これ」なんて(笑)。その発言の主は茶道をされる方だったのです。お茶は確かに、「点(た)てる」といいますからね。
日本語は難しいですねというお話でした。
_ よっぱ ― 2007年11月06日 19時31分11秒
馥さん コメントありがとうございます。
コーヒーを落とすというのは、見たままを口にしていたので、「えっ、僕しか言わないのだろうか…?」と心配になっていたところ、蝶子さんもおっしゃっておられたようでホッとしました(笑)
彼は自分でキリマンを落としているので、もう決心しているのでしょう。だから大丈夫です。
蝶子さん コメントありがとうございます。
携帯なんかなかった頃、電話といえば10円玉でした。それも店に置かれていたのはピンクか赤電話でした(笑)懐かしく感じて頂けてうれしいです。
スルメ→アタリメ、すり鉢→あたり鉢、みたいなものですかねぇ、落とす→点てる は。ちょっと違うか、お茶用語だから(笑)
_ よっぱ ― 2007年11月07日 00時37分16秒
追伸 蝶子さんへ
設定では、僕はいつの間にか専門店で考え事をしながら飲むコーヒーといえば、いつの間にかキリマンになっていた。だけど、明確な意思を持って自分でキリマンを落とすのは今日が初めてというつもりでした。
ありがとうございました。
_ SOID ― 2007年11月09日 06時23分55秒
キリマンジャロ、飲んだことがないことに気づかされました。珈琲と言えば缶コーヒーを飲むか飲まないかという程度でしたので。改めて反省しています。それにしても生きるためにはいろいろな決断をせねばらないですね。それを面白いと感じるか難しいと感じるか……。考えないと、と思いました。
_ 木の目 ― 2007年11月09日 18時40分49秒
今日、いつも買う珈琲屋さんで、コナコーヒーを飲ましてもらいました。
お土産で買ってきたのと違って、うまかったです。
文章の感想になかなかいけないのは、実はキリマン、飲んだ記憶がない(涙
私の好みとしては、追想の羅列ではなくではなく、17歳のリアルタイムのどきどき感、離婚のときの冷めた透明感を、珈琲の香りとともに書いて欲しかったです。
_ つとむュー ― 2007年11月15日 23時25分25秒
>いつもこの香りがあった。
この部分、塾長の作品と同じ雰囲気を感じました。
>公衆電話に10円玉を6枚入れた。
今度は僕の作品とおんなじだ、と思ってしまいました。
この気持ち、わかります。
>人生に大切なことを決定する時
余計はお世話で、大変厚かましいことなのですが、
ここを”人生の重大な扉を開ける時”にすると、登山コースに・・・
_ ukihaji-12 ― 2007年11月18日 01時18分55秒
貴方にとって重大な決断をする時、香りに拘るのは何時もキリマンジャロ。
旨くも不味くもその時の人生そのものでしょうか?
コーヒが自ずから持つ苦い味のようですが。
_ Lucky16 ― 2007年11月18日 19時19分04秒
コーヒーはあまり飲まないので、詳しくありません。
コーヒーを落とすという表現が始めてで新鮮でした。
人生を左右する香りというより、踏ん切りをつける為、理由づけの為に香りを結びつけてよりどころにしていると感じました。
_ マロ ― 2007年11月19日 00時27分31秒
ああ、僕は珈琲オンチなので、品種による匂いの違いが全然分からないのが悲しい。
珈琲を飲んで落ち着いてじっくり考えた決断なので、自分でも納得がいくんでしょうね。
あと、何度人生でキリマンを飲む場面がくるのか・・・
_ 涼子 ― 2007年11月19日 18時10分59秒
コーヒーとの付き合いが長くなってくると、
人生のコーナーを曲がるときに、コーヒーの
香りをかぐということがあるものですよね。
特別の日に、かぐ香りがあるというのも、
わかるような気がします。
コーヒーと親密な関係をただよわせていて、
いいなあと思いました。
私は、マスターがどんな決断をしたかが個人的には
気になります。私なら愛人と駆け落ちさせたり、夜逃げ
させたりするかなあ。
_ よっぱ ― 2007年12月01日 09時20分47秒
皆様、コメントありがとうございました。また、長い間アクセスできずお返事が遅くなり申し訳ありませんでした。
SOIDさん コメントありがとうございました。
生きるために決断すること多いですね。でも、あまり考えすぎるとどんどん深みにはまりそうで… 考えないでおこう と思って生きてます(笑)
木の目さん コメントありがとうございました。
羅列でなく、一点を深く… うーん やっぱり詰め込みすぎなんですねぇ。引き続き修行続けますのでよろしくお願いします
つとむューさん コメントありがとうございました。
10円玉>いつも思うのですが、似た世代なんですね(笑) だから、つとむューさんの作品にいつも惹かれます。
登山コースの件は、ちょっとしたこだわりがあって散策しかしない僕なのでした。
_ よっぱ ― 2007年12月01日 09時31分37秒
皆様、コメントありがとうございました。また、長い間アクセスできずお返事が遅くなり申し訳ありませんでした。
ukihaji-12さん コメントありがとうございました。
彼は最初はこだわっていなかったんです。でも、いつの頃からか度重なる偶然に必然を感じ、そのうちに自分でこの香りに寄り添っていくようになった。そんな感じで考えました。
旨くも不味くもその時の人生そのもの>そうですね。気分や体調で同じ味でも香りでも違ってかんじます。
lucky16さん コメントありがとうございました。
人生を左右する香~よりどころにしていると感じました>ありがとうございます。そう感じていただけたらとても嬉しいです。
マロさん コメントありがとうございます。
珈琲オンチ>いえいえ、きっと同じのばっかり飲んで、違うのを飲むと「あぁ そうか!」と思うこともありますよ。きっと(笑)
彼は、あと何回キリマンを飲むんでしょうね…
涼子さん コメントありがとうございました。
マスターの 駆け落ち・夜逃げ いいですねぇ
そして彼も…(笑)
ありがとうございました。
コメントをどうぞ
第20回の入賞者を次の作品に決定いたしました。
散策コース
優秀作 一席92点 #020-S004「キリマンジャロの香り」よっぱさん
秀作 一席90点 #020-S005「明け方には」秋尾さん
佳作 一席89点 #020-S006「コーヒーの香りのする家族」馥さん
登山コース
優秀作 一席 #020-T001【シベリア幻想】トゥーサ・ヴァッキーノさん
秀作 一席 #020-T006「昼休み」鹿王院知子さん
佳作 一席 #020-T014「分岐点」ぎんなんさん
--------------------------------------------------------------------------------
講評
散策コースは投票の得点で上から順に決定しました。
師範代のつぶやき
#020-S003「キリマンジャロ・コーヒー」kilimanjarocafeさん
一番、話としてよく出来ていて面白かった。
最後のオチも、悔し紛れなのか本当なのか?と惑わせるような
ふうになっているところもいいと思いました。
#020-S004「キリマンジャロの香り」よっぱさん
#020-S008「Coffee Maker」ひょうたんさん
この二人は、以前に比べてぐっとまとまりがよくなった。
ひょうたんさんは、自分の味を大分自覚してきたのでしょうか?
あのユルイ感じは誰にも書けない。持ち味を生かすことがうまく
なったような気がします。
よっぱさんも、いつも沢山書きたいことがあるのに無理してぎゅっと
つめていたような感じがあったんですが、今回は無理なくきれいに
まとまっていたと思います。
二人とも書けば書くほどうまくなりそうな予感。
それにしても今回も涼子さん、巧いですねえ。長いのとか書いて
ないのかしらん。あとうららさんも。二人ともとてもいい。うららさんは
最近コメントもすごく良くて、どこか知的な雰囲気が。ブログとか
やってないんですかねー。
登山コースについては、師範代の推薦意見を参考に木の目が選びました。
師範代推薦意見
今回の登山コースは迷いました。かなりレベルが高かったと思います。
ヴァッキーノさんは「自分が体験していない」「実際にはあり得ない」
情景や状況を書くのがものすごく巧くなっている気がします。絶望的
な状況を、うまくコーヒーの香りと絡めて書いたと思います。五感を刺激
するような文章でした。
鹿王院知子さん。題材がありそうでなさそうな非凡なものだと思いました。
いろんな意味でこういう「ぎりぎり」のものを書くのが彼女の真骨頂だと
常々思っていましたが今回は特に素晴らしかったです。
mukamuka72002さん、本来の持ち味である軽やかな調子で、甘く切ない
青春をうまく描いていると思います。はい、単純に感動しました、
私(笑 ぎんなんさんと蝶子さんとで、迷いましたが、ジャンに対する見方
が読者によって結構分かれたので、その辺をもうちょっと長い字数で書
いてほしいなあなどと思ったので、缶コーヒーの、しかも加齢臭込みの
臭いを表現した(!)ぎんなんさんに軍配をあげてしまいました。
豆を直接嗅いだときよりも、出来上がったコーヒーを口に運ぶときよりも、一番僕を静かな気分にさせてくれる、コーヒードリップする時の香り。僕にとってコーヒーよりも大切なものだ。
いつの頃からか、人生に大切なことを決定する時、いつもこの香りがあった。
あれが最初だったろうか。17歳のとき彼女が妊娠したかもしれないと言った。僕は、入り浸っていた喫茶店でどうしたらいいのかと考えていた。その時、何ともいえないいい香りが僕の鼻腔をくすぐり、僕は自分の子供を産んで欲しいと思った。「よし、俺は彼女と子供の為に学校をやめて働こう!」そう決めて公衆電話に10円玉を6枚入れた。結局、若い頃によくある勘違いで、その数日後にちゃんとお知らせが来たのだけれど。
それまでホットとアイスしか知らなかった僕は、マスターに「それ、いつものコーヒーと違うよね?」と聞いた。「ああ、これはキリマン。特別な時に、自分のために落とすんだよ。」と答えた。その時、マスターの身に何が起こっていたのかは知る由もない。だけど、あの時のマスターはいつものマスターじゃなかった。
それからというもの、場所は変わっても何故か大切な決断のとき、いつもキリマンの香りが付き纏う。
一番最近の大きなできごと、妻との別れを決めたときもそうだった。離婚を切り出したのは、決心してから随分経ってからのことだった。でも、不意に香ってきたキリマンの香り… 本当は、僕はあの時に妻と別れることを決めた。
たまたま、人の少ない喫茶店で考え事をすることが多かったせいかもしれない。だけど、なぜか僕の人生についてまわるあの香り。ブルマンでも、モカでもない。あの独特のキリマンの香り…
今夜、僕は辞表を目の前に置いて自分でキリマンジャロを落としている。自分の為に。そう、この香りを嗅ぎながら、自分が自分であり続けるために…
(文字数:800)
by bunshoujuku [文章塾] [コメント(28)|トラックバック(0)]
コメント
_ なぎさひふみ ― 2007年10月29日 23時39分39秒
香りを呼称するのには、言葉の数が絶対に少ない。というよりなになにの香りとしか言えないぐらいに、微妙な違いがある。裏を返せばそれほど香りには刺激することの大なる力があるのだろう。
心の繊細な襞に通り過ぎるキリマンの香りはいつも勇気と誠実であるのでしょう。
_ うらら ― 2007年10月30日 01時48分17秒
偶然キリマンジャロの作品が続きましたね。それ程、この香りには人を惹きつけるものがあるということなのでしょう。主人公のキリマンジャロに対する思い入れと、彼の人生を導くかのように、人生の節目で漂うその香りが丁寧に描かれていとても好感がもてます。特に、17歳の時のエピソードが、その後のキリマンとの関わりを決定付けたような重みを感じさせます。
_ トゥーサ・ヴァッキーノ ― 2007年10月30日 12時42分00秒
よっぱさんのことだから、焼酎のコーヒー割りの話しとかなのかと思ってました(笑)
キリマンって高級なコーヒー豆なんですか?
缶コーヒーでも、キリマンジャロは量が少ないです。
キリマンジャロの香りが人生を漂わせる。
大人ですねー。
違いのわかる男。
_ mukamuka72002 ― 2007年10月30日 13時23分25秒
>そう決めて公衆電話に10円玉を6枚入れた。
どこにかけようとしたんですか(笑)?
親、学校、仕事探し?
本作品は極めて異例なものを含んでいます。実話なのか創作なのかが判断つかず、その谷間で読者を不思議な浮遊感にいざないます。何ででしょうね? 実験されたのではないでしょうが、面白い雰囲気です。
_ よっぱ ― 2007年10月30日 14時11分13秒
なぎさ ひふみさん コメントありがとうございます。
本当に香りというものは単体についてまわり、○○の香りに似ているというくらいしか表現のしようがないことに、時に苛立ったりします。
甘いと言っても、香ばしいと言っても、なかなか伝わらないもどかしさ。
それでいて、気持ちと切っても切れない感じ…
勇気と誠実、共にありたいものです。
うららさん コメントありがとうございます。
丁寧に… 17歳のエピソード 誉めていただいてうれしいです。
キリマンジャロの香りってコーヒーの中でも、わかりやすくて一種独特な香りに感じます。大好きなので、つい「コーヒーの香り」というお題にキリマンジャロが思い浮かんでしまいました。
_ よっぱ ― 2007年10月30日 14時25分03秒
トゥーサ・ヴァッキーノさん コメントありがとうございます。
さすがの僕も、毎日々々 酔いどれているわけではないのです。特に、何か大きな決断をするときには…
キリマンは特別高い豆というわけではありません。違いのわかる大人にはなりたいですが、ゴールド○レンドとブレン○ィの違いは、未だにわからなかったりします(笑)
mukamuka72002さん コメントありがとうございます。
10円玉6枚はどこに…>彼女です。僕は高校生の頃、違う県に住む彼女と付き合っておりましたので、電話といえば10円玉を何枚も握りしめてかけに行ったものです。
確か6枚までしか入らなかった記憶があったもので…
創作なのか現実なのか… それは内緒です。色々想像して浮遊してください(笑)
_ おさか ― 2007年10月30日 16時01分38秒
私、初めて美味しいと思った珈琲はブルーマウンテンだったんですよ。キリマンジャロは、珈琲に随分慣れてから飲んだ気がする。確かに大人の味ですよねー、といいつつ今は喫茶店に入ってボーっとする、ということから離れて久しいので、すっかり忘れてしまいました。
香りは不思議ですよね。時空を越える気がします。記憶がぱあっと甦るような。
でも、会社辞めちゃダメですよ(笑
_ mukamuka72002 ― 2007年10月30日 16時07分28秒
よっぱさんごめんください。
電話の件、よく読んで考えたつもりでしたが、そうですね。彼女は店にいなかった、思い込みがそう読ませてしまったようです。
今後は注意します。
_ よっぱ ― 2007年10月30日 21時38分37秒
おさかさん コメントありがとうございます。
香りだったり、音や音楽だったり、景色だったり… 人によって時空を越えたり、切り替えたりするきっかけは色々ありますが、彼の場合は香りなんですね。
仕事辞めませんよ。作者の方は(笑)子供の学費のためにもっと頑張らなきゃ!
ところで、離婚なんかしちゃダメですよ!とは言って下さらないんですネ(笑)
mukamuka72002さん 再度のコメントありがとうございます。
気にしないで下さい。一言足りなかったのは僕の方です。
「いつもの喫茶店で、一人考えていた時」とか、わかりやすくすればよかったんです。
勉強になりました。ありがとうございました。
_ 鉛筆カミカミ ― 2007年10月30日 23時05分48秒
ごめんなさい、キリマンジャロとか、ブルーマウンテンとか、違いがわかりません。もっぱら、缶コーヒーかスタバのキャラメルフラペチーノ(これはコーヒー?)を飲みます。
缶コーヒーでは、ジョージアのカフェエスプレッソがお気に入りです(どーでもいい話を……(笑))。
よっぱさんのように違いが分かる男になりたいなぁ。……それならチャレンジあるのみか?経験ですよねえ、たぶん。
今まで、よっぱさんが書かれる文章に別れのイメージがありませんでした。なので今回は少しショック。離婚だなんて、よっぱさんに似合わないわっ。
よっぱさんって、単身赴任なさってるのに、愛妻家で、子供も大事になさってる、みたいなイメージがすごくありますよね。
_ 百吉 ― 2007年10月31日 23時17分11秒
ご無沙汰しております。しばらくPC離れしていたら書けなくなってしまったので、今回コメントのみで失礼いたします。書かないくせに偉そうなコメントでごめんなさい。
私も、この喫茶店で彼女から妊娠の告白を受けているのかと思って、親にでも電話するのかなぁと思ってしまいました。
キリマンジャロの香りがいつもと違うとわかるなんて、「違いのわかる男」だなぁ。
味は確か酸味が強かったと思うのですが、香りはどんなだったかなぁ、と確かめたくなります。
「自分が自分であり続けるために…」がかっこいいです。
ちなみになんでもミルクを入れなければ気が済まない私は、苦みのあるマンデリンが好きです。
_ よっぱ ― 2007年11月01日 10時50分24秒
鉛筆カミカミさん コメントありがとうございます。
いままで、別れ話を書いた事が無いわけではないんですよ。ただ、バッドエンドよりハッピーエンドの方が読み終わり(書き終わり)の気分がいいのでついついそちらに行ってしまいます。
鉛カミさんの僕へのイメージはとっても素晴らしいので、是非そのままにしておいて下さい(笑)
百吉さん コメントありがとうございます。
お久しぶり~です。お帰りなさいませ。文章塾もブログも卒業されてしまったのかと寂しく思っておりました。
電話の件、やっぱりそう読めてしまいますよね。反省です。
_ おさか ― 2007年11月02日 20時24分36秒
>ところで、離婚なんかしちゃダメですよ!とは言って下さらないんですネ(笑)
だってー、もうしちゃってるじゃーん。止められるのは辞表を出そうとしている僕、だけですから。作品の中では(笑
_ でんち ― 2007年11月02日 23時08分57秒
コーヒーと別れ。なかなか考え付かないと思うので、実体験部分がどこかにあるはず?
キリマンが好きなところかなー。
マスターがいい味出していると思いました。
このマスターがキリマンを入れているところを目にしたら最後。
キリマンの香りをかぐと必ず別れが起こる。ホラーだ。
_ よっぱ ― 2007年11月03日 09時36分14秒
おさかさん お返事ありがとうございます。
そうか、話の中の僕へのお言葉だったんですね。てっきり作者へのお言葉かと(笑)
でんちさん コメントありがとうございます。
ピンポ~ン。実体験はキリマン好きってところです。とても若い時はブルマンとかモカが好きでした。(というよりカッコつけてただけ、ん?今もか?(笑))
一応、今回は別れだけじゃなくて「大事な事、自分らしくあるための決断の時にいつも香りがあった。」としたかったのですが、ちょっと他が弱かったかなぁ…
_ 馥 ― 2007年11月03日 21時31分42秒
コーヒーをドリップする時のポトポトポトポトのリズムが人の心を落ち着かせるのでしょうか、そして香りも漂って来ます。良い景色ですね。コーヒーを入れるのではなくて、落とすと云うのですね、良い言葉ですね、通ですねぇ。
私恥ずかしながら初めてこの言葉を知りました。
ごめんなさい!大事な事を考えて居らっしゃる時にこんな事を云って。
どうぞ、良い明日でありますように!
_ 蝶子 ― 2007年11月06日 10時34分23秒
10円玉6枚、というのが時代と青春を感じさせてとてもいいです。私も高校生の頃、生意気に行きつけの店でマスターと喋ったりして大人気分を味わいました。
「キリマンの香り」はいつも「漂っている」だけなんですよね? 自分のために淹れているのは最後だけですよね? 「僕」がいつからキリマンを飲むようになったのか、ちょっと知りたいと思いました。
ドリップすることは「落とす」といいますよね。でもね、私、あるとき職場で「コーヒーを落としておきますね」といったら「あら、〈立てておく〉と言うわよ、普通」なんて指摘されたんですよ。考え込んじゃって。ドリップされてるコーヒー見ながら「どう見ても〈落ちてる〉よなあ、これ」なんて(笑)。その発言の主は茶道をされる方だったのです。お茶は確かに、「点(た)てる」といいますからね。
日本語は難しいですねというお話でした。
_ よっぱ ― 2007年11月06日 19時31分11秒
馥さん コメントありがとうございます。
コーヒーを落とすというのは、見たままを口にしていたので、「えっ、僕しか言わないのだろうか…?」と心配になっていたところ、蝶子さんもおっしゃっておられたようでホッとしました(笑)
彼は自分でキリマンを落としているので、もう決心しているのでしょう。だから大丈夫です。
蝶子さん コメントありがとうございます。
携帯なんかなかった頃、電話といえば10円玉でした。それも店に置かれていたのはピンクか赤電話でした(笑)懐かしく感じて頂けてうれしいです。
スルメ→アタリメ、すり鉢→あたり鉢、みたいなものですかねぇ、落とす→点てる は。ちょっと違うか、お茶用語だから(笑)
_ よっぱ ― 2007年11月07日 00時37分16秒
追伸 蝶子さんへ
設定では、僕はいつの間にか専門店で考え事をしながら飲むコーヒーといえば、いつの間にかキリマンになっていた。だけど、明確な意思を持って自分でキリマンを落とすのは今日が初めてというつもりでした。
ありがとうございました。
_ SOID ― 2007年11月09日 06時23分55秒
キリマンジャロ、飲んだことがないことに気づかされました。珈琲と言えば缶コーヒーを飲むか飲まないかという程度でしたので。改めて反省しています。それにしても生きるためにはいろいろな決断をせねばらないですね。それを面白いと感じるか難しいと感じるか……。考えないと、と思いました。
_ 木の目 ― 2007年11月09日 18時40分49秒
今日、いつも買う珈琲屋さんで、コナコーヒーを飲ましてもらいました。
お土産で買ってきたのと違って、うまかったです。
文章の感想になかなかいけないのは、実はキリマン、飲んだ記憶がない(涙
私の好みとしては、追想の羅列ではなくではなく、17歳のリアルタイムのどきどき感、離婚のときの冷めた透明感を、珈琲の香りとともに書いて欲しかったです。
_ つとむュー ― 2007年11月15日 23時25分25秒
>いつもこの香りがあった。
この部分、塾長の作品と同じ雰囲気を感じました。
>公衆電話に10円玉を6枚入れた。
今度は僕の作品とおんなじだ、と思ってしまいました。
この気持ち、わかります。
>人生に大切なことを決定する時
余計はお世話で、大変厚かましいことなのですが、
ここを”人生の重大な扉を開ける時”にすると、登山コースに・・・
_ ukihaji-12 ― 2007年11月18日 01時18分55秒
貴方にとって重大な決断をする時、香りに拘るのは何時もキリマンジャロ。
旨くも不味くもその時の人生そのものでしょうか?
コーヒが自ずから持つ苦い味のようですが。
_ Lucky16 ― 2007年11月18日 19時19分04秒
コーヒーはあまり飲まないので、詳しくありません。
コーヒーを落とすという表現が始めてで新鮮でした。
人生を左右する香りというより、踏ん切りをつける為、理由づけの為に香りを結びつけてよりどころにしていると感じました。
_ マロ ― 2007年11月19日 00時27分31秒
ああ、僕は珈琲オンチなので、品種による匂いの違いが全然分からないのが悲しい。
珈琲を飲んで落ち着いてじっくり考えた決断なので、自分でも納得がいくんでしょうね。
あと、何度人生でキリマンを飲む場面がくるのか・・・
_ 涼子 ― 2007年11月19日 18時10分59秒
コーヒーとの付き合いが長くなってくると、
人生のコーナーを曲がるときに、コーヒーの
香りをかぐということがあるものですよね。
特別の日に、かぐ香りがあるというのも、
わかるような気がします。
コーヒーと親密な関係をただよわせていて、
いいなあと思いました。
私は、マスターがどんな決断をしたかが個人的には
気になります。私なら愛人と駆け落ちさせたり、夜逃げ
させたりするかなあ。
_ よっぱ ― 2007年12月01日 09時20分47秒
皆様、コメントありがとうございました。また、長い間アクセスできずお返事が遅くなり申し訳ありませんでした。
SOIDさん コメントありがとうございました。
生きるために決断すること多いですね。でも、あまり考えすぎるとどんどん深みにはまりそうで… 考えないでおこう と思って生きてます(笑)
木の目さん コメントありがとうございました。
羅列でなく、一点を深く… うーん やっぱり詰め込みすぎなんですねぇ。引き続き修行続けますのでよろしくお願いします
つとむューさん コメントありがとうございました。
10円玉>いつも思うのですが、似た世代なんですね(笑) だから、つとむューさんの作品にいつも惹かれます。
登山コースの件は、ちょっとしたこだわりがあって散策しかしない僕なのでした。
_ よっぱ ― 2007年12月01日 09時31分37秒
皆様、コメントありがとうございました。また、長い間アクセスできずお返事が遅くなり申し訳ありませんでした。
ukihaji-12さん コメントありがとうございました。
彼は最初はこだわっていなかったんです。でも、いつの頃からか度重なる偶然に必然を感じ、そのうちに自分でこの香りに寄り添っていくようになった。そんな感じで考えました。
旨くも不味くもその時の人生そのもの>そうですね。気分や体調で同じ味でも香りでも違ってかんじます。
lucky16さん コメントありがとうございました。
人生を左右する香~よりどころにしていると感じました>ありがとうございます。そう感じていただけたらとても嬉しいです。
マロさん コメントありがとうございます。
珈琲オンチ>いえいえ、きっと同じのばっかり飲んで、違うのを飲むと「あぁ そうか!」と思うこともありますよ。きっと(笑)
彼は、あと何回キリマンを飲むんでしょうね…
涼子さん コメントありがとうございました。
マスターの 駆け落ち・夜逃げ いいですねぇ
そして彼も…(笑)
ありがとうございました。
コメントをどうぞ
第20回の入賞者を次の作品に決定いたしました。
散策コース
優秀作 一席92点 #020-S004「キリマンジャロの香り」よっぱさん
秀作 一席90点 #020-S005「明け方には」秋尾さん
佳作 一席89点 #020-S006「コーヒーの香りのする家族」馥さん
登山コース
優秀作 一席 #020-T001【シベリア幻想】トゥーサ・ヴァッキーノさん
秀作 一席 #020-T006「昼休み」鹿王院知子さん
佳作 一席 #020-T014「分岐点」ぎんなんさん
--------------------------------------------------------------------------------
講評
散策コースは投票の得点で上から順に決定しました。
師範代のつぶやき
#020-S003「キリマンジャロ・コーヒー」kilimanjarocafeさん
一番、話としてよく出来ていて面白かった。
最後のオチも、悔し紛れなのか本当なのか?と惑わせるような
ふうになっているところもいいと思いました。
#020-S004「キリマンジャロの香り」よっぱさん
#020-S008「Coffee Maker」ひょうたんさん
この二人は、以前に比べてぐっとまとまりがよくなった。
ひょうたんさんは、自分の味を大分自覚してきたのでしょうか?
あのユルイ感じは誰にも書けない。持ち味を生かすことがうまく
なったような気がします。
よっぱさんも、いつも沢山書きたいことがあるのに無理してぎゅっと
つめていたような感じがあったんですが、今回は無理なくきれいに
まとまっていたと思います。
二人とも書けば書くほどうまくなりそうな予感。
それにしても今回も涼子さん、巧いですねえ。長いのとか書いて
ないのかしらん。あとうららさんも。二人ともとてもいい。うららさんは
最近コメントもすごく良くて、どこか知的な雰囲気が。ブログとか
やってないんですかねー。
登山コースについては、師範代の推薦意見を参考に木の目が選びました。
師範代推薦意見
今回の登山コースは迷いました。かなりレベルが高かったと思います。
ヴァッキーノさんは「自分が体験していない」「実際にはあり得ない」
情景や状況を書くのがものすごく巧くなっている気がします。絶望的
な状況を、うまくコーヒーの香りと絡めて書いたと思います。五感を刺激
するような文章でした。
鹿王院知子さん。題材がありそうでなさそうな非凡なものだと思いました。
いろんな意味でこういう「ぎりぎり」のものを書くのが彼女の真骨頂だと
常々思っていましたが今回は特に素晴らしかったです。
mukamuka72002さん、本来の持ち味である軽やかな調子で、甘く切ない
青春をうまく描いていると思います。はい、単純に感動しました、
私(笑 ぎんなんさんと蝶子さんとで、迷いましたが、ジャンに対する見方
が読者によって結構分かれたので、その辺をもうちょっと長い字数で書
いてほしいなあなどと思ったので、缶コーヒーの、しかも加齢臭込みの
臭いを表現した(!)ぎんなんさんに軍配をあげてしまいました。
最近のコメント